「これでも大学職員のブログ」の古いやつ

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あえて偏差値を上げない大学もある

今回は「中央大学」を取り上げさせていただきました。

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偏差値が高い大学がいい!」 「偏差値だけで大学を決めてはいけない!
偏差値についての議論は、行き着く先が見えないものです。



主要な予備校が公開している偏差値一覧は、以下ページが参考になります。
 大学入試偏差値ランキング一覧(最新版)  ←こんなページあるんですねぇ。


今回は、大学の“公式サイト上で”偏差値に関して持論を述べているところを紹介します。
こういうのって珍しいのでは?  ※またまた情報センターネタから大きくそれてごめんなさい。m(__)m


中央大学」です。 (正確には中央大学情報工学科) 

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出だしから言い切ってます。
中央大学情報工学科は「偏差値操作」をすることなく、競争入試による入学枠7割を堅持します。
とのこと。



Q&A方式になっています。以下抜粋。(適当に太字にしてます)



Q.なぜ、他大並みに推薦入学枠を5割まで拡大し、競争入試(推薦以外の一般入試等)の偏差値を上げようとしないのですか?


A.他大並みに推薦入学枠を3割から5割まで拡大し、かわりに競争入試による入学枠を従来の7割から5割まで縮小すると、当然、偏差値は上昇し見栄えは良くなるのですが、反面、偏差値だけに注目して進学先を決めるタイプの入学者の比率が増加する一方、研究開発の潜在的な資質ある自己決定型の入学者の比率が減少し、学生自身の研究開発力(本質的には、企業で必要とされる企画能力と同根)、および、それを前提とした就活の内定突破力が急速に弱化しかねません。例えば入学後の数学プレースメントテストにおいて、推薦入学者の平均点が競争入試入学者のそれよりも若干低いのは事実であり、この差を最小化できる、すなわち、学科全体として入学時の学力を最大化できるのは推薦入学枠を3割に抑えたときと考えられます。


もし営利を優先するのであれば、推薦入学枠を最大限の5割程度まで増やして競争入試の偏差値を引き上げ、志願者を計画的に増加に導くでしょう。しかし大学とは、本来、営利が目的ではないはず。ですから、中央情報は正直過ぎると言われても、高度教育機関としての見識をしっかりと持って、そのようなことはしないのです。



こうすればうちも偏差値は上がる。だけどあえてしないのだ!」ということか。



Q.長期的には、偏差値こそが大学の実力を反映するのでは?


A.いいえ。例えば企業の実力(資本力、生産力、利益、安定性など)が、公開株の売買価格(投資家の思惑が絡む人気投票のようなもの)と独立であることは、よく知られていると思います。株価を偏差値に見立て、これとのアナロジで考えてみて下さい。


就職活動を始めてみて、初めて実感できることかも知れませんが、各大学の学術活動や実社会・経済産業界における第三者評価等を、各種資料を熟読するなどして自分の頭で理解し、どの大学を選ぶべきか判断する必要があります。偏差値(入口における競争の度合い)を発表しているのは誰かも、冷静に考えてみて下さい。それは国でしょうか、民間の営利企業でしょうか?


例えば当学科卒内定者1人当りの求人件数は例年約50件にも及びます。これと同程度の大学を、探せるものなら探して下さい。



かなり強気です。 最後にしっかりと自慢してます。。(-_-;)



Q.ところで、偏差値とはそんなに簡単に操作できるもの?


A.偏差値は、誰かが任意に発表しているものです。公的な監査等があるわけではありませんから、やろうと思えば比較的容易に操作できそうですね。でも、当学科はしません。


それでも偏差値にこだわる人へ、簡単なクイズを出します。次の2パターンで、本当はどちらの偏差値が総合的に高いか判定してみて下さい。 (省略)



実際に例を挙げて操作例を解説しています。ほ〜〜。 こういうものなの?


なんと、後編もありました。

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見掛けの偏差値を操作しても、学士力(学力、研究力、人間力、就活力、…)は向上しない !?

推薦入試枠を従来の3割から他大並の5割に増やせば、確かに競争入試の偏差値は上がります。でも、それに手を付けてしまうと教育が早晩成り立たなくなることは、各大学も受験生も薄々気付いているでしょう。
とのこと。



そして続く。
このまま偏差値に振り回され続けていると、学生も大学もダメになります。株価(偏差値)高値のまま突然崩壊してしまう現代企業(諸大学)の矛盾を孕んだ構図の轍を踏まぬよう、学生自身の高い研究発表実績の安定上昇を誇ると共にキャリア支援全国大学1位達成の秘密、中央大学マネジメント論の王道をここに公開します。


パチパチパチ。\(^o^)/  で、キャリア支援全国大学1位ってなんだ?!


そしてやっぱり。最後に断り書きがあります。


※ 本内容は、2008年5月開催の高校教員向け中央大学進学相談会において、現役のオペレーションズリサーチ研究者として活躍する理工学部長 田口東(情報工学科教授)が、本学を例として我が国の諸大学が抱える問題を本音で語り、さらに解決に向けて教育者として真正面から取り組む姿勢を説明したものであり、他大を批判する趣旨ではありません。


一個人の意見であり、大学の公式見解ではないですよ〜 他大の皆さん、気を悪くしないでね〜」ということか。




これで、この学科の偏差値が上がったらどう解説するのだ?!
まぁ、もし上がれば上がったで、また何とでもいえますからね。


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